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公園を過ぎると、小川に沿って哲学の小径が始まる。しばらく行くとベンチがあって、無精ひげの浮浪者みたいな男が寝ていた。脇に黒い犬がいて、その男に向かってさかんにしっぽを振っていたので、まさかこれが私の友人とは思わなかった。(中略)
「そろそろ若王子が開くなあ……」とベンチに起きあがり、寝ぼけた声で凶人が言った。
「若王子って?お寺かい?」「うんそうだ、神社だ……いやそうじゃない!あれだ」
指さす方を見ると、小径のふもとに西洋ふうの小さな時計塔があり、先端が樹々の間から突きだしている。
私たちのいる哲学の小径は、小川に沿った土手の上にあるが、この土手がずいぶんと高いので、このあたりの建て物はみんな四、五メートル低い土地に建っている。この建て物もそういった一軒だったが、見ると小径沿いに門があり、入ると石段を下っていく、そしてその時計塔のある西洋館へと続いているらしい。
「占星術殺人事件」から引用
若王子
銀閣寺から反対の方から小径に入り、50mも歩くだろう距離ほどにその店はある。
こちらからの入り口には若王子神社というものがあるがこの名に因んで付けられたのだろう。店の名も『若王子』という屋号である。
ここに訪れるのは実に10年近くぶりだ。あの頃、島田作品を読みだして間もない頃にいてもたってもいられなくて、このお店を探しにきたものだ。その時は、天橋立からの帰り道の寄ったので夕暮れも迫り写真も薄暗い絵しか撮れなかったが今回はと、朝一訪れてみたのだが、天候には恵まれずに雪のチラつく日になってしまった。早朝ともいうことで、当然お店は閉まっていて中には入れない。以前来たときには、彼らのように紅茶をいただき、クッキーを食べたものだ。店内の様子もカメラに収めたかったが叶わなかった。作中にあるように店の雰囲気は怪しげだったことを憶えている。
入り口から石段を下ってみたところギョッとしたのが、何と丸々と太った猫が4匹ほど固形のキャットフードを食べていた。店主が与えたものだろうか?野良とはかけ離れたほど肥えていたのだが、どうも島田ミステリの舞台には野良猫が多く見られるところも少なくないな思った。多いといっても、外人墓地と港の見える丘公園だけなんだけど……
2002 Photo and report ten
Location Kyoto
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