海に向かって半円形にせり出した場所がある。途端に立ち、手すりに腰かけると、足もとの石垣にゆっくり波が寄せる。水は意外に澄んでいて、底の黒い石が覗けた。
 右手には、永久停泊している氷川丸がある。良子に教えられるまでもなく、この古い船がもう走ることはない永久停泊中の飾りだとすぐ解る。


「異邦の騎士」から引用

氷川丸
 氷川丸は、北太平洋で展開されたシアトル・バンクーバー航路で運航された貨客船である。
  1960年に運航を終了した後に、山下公園へと係留泊され、その運航生命を果たした後も多くの観光客を乗せ現在まで活躍した。
 船内は有料で観覧出来るが、意外に入場料金が高く今まで何度もここに訪れていたが、なかなか入ることが出来ないでいたが、今回マリンタワー同様営業終了ということで入場料も半額となり、いよいよ船内へと足を運ぶことにした。
 艦内に入ると機関室から客室、デッキなどと船内の殆どを見て回れることが出来た。その他に船内構造を利用した、ちょっとした船の博物館なんかがあり、その運航の歴史を楽しむことが出来る。また「異邦の騎士」の作中にあったようにライブ、サロン・コンサート、パーティなどを甲板デッキで行うスペースなど、こうしてゆっくりと散策してみると、思ったより時間をかけることが出来て、意外と楽しめた。
 こちらも、先に紹介したマリンタワー同様現在は営業を行っていないが、横浜観光の目玉として保存を望む声が強く、現在の船を所有する日本郵船が再生の発表があったと聞いている。
 やはり、山下公園からこの氷川丸やマリンタワーが消えるというのは、地元住民ではなくとも、少なからずこの地を訪れたものなら是非とも存続して欲しいと願う。
 それが、島田作品の読者なら尚更だろう。
 現在は、こちらも外観を見ることしか出来ない。観光だけなら、恐ら興味のない人以外はあまり入らないと思うが、いずれ営業再開されたのなら一度はデッキに立って潮風に当たりつつ異邦の地に想いを寄せてみてはどうだろうか。



2006 Photo and report ten
Location Yokohama