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「地球に乾杯!NGO」執筆者が翻訳に参加したマイケル・エドワーズ著「フューチャー・ポジティブ 開発援助の大転換」(原著:Future Positive: International Co-operation in the 21st Century)が2006年5月日本評論社から刊行されました。 Amazon.co.jpへのリンク
CSOネットワーク・杉原ひろみ/企画・監修、杉原ひろみ・畑島宏之・鈴木恵子・粒良麻知子/訳 
7月23日付朝日新聞書評欄で酒井啓子氏推薦(リンク

推薦のことば 緒方貞子 国際協力機構(JICA)理事長
「本書は国際協力の現状を厳しく見つめ、将来像を前向きかつ大胆に描いた良書です。開発や国際関係の専門家にとどまらず、広く一般の方々に読んでいただきたいと思います。」
 

2007.10.15


パイロット活動
位田 和美

(前回のコラム「青少年センターにおける現行啓発活動調査」)

任期中の最後の1ヶ月間、腰を据えて1箇所で活動できたことは、非常に実りの多いものであった。というのも、約1ヶ月間の調査中は、各青少年センターにつき3-4日間の日程で、スタッフとの成果分析(不賛成意見多数につき、折り合いに時間がかかる)、地域のキーパーソンへの聞き取り(まず日程調整が至難の業であり、現場へ行かないとアポは取れず、アポは取れても守られるとは限らない)、青少年へのインタビュー(学年末であったがためにアクセスが困難であり、さらに、本音を聞きだすのに時間がかかる)、啓発活動の見学、と盛りだくさんであった。そして、盛りだくさんであるがために、自らのエネルギーを使い切ったにも関わらず、一過性の活動に陥る可能性が否めなかった。実際、調査を終え、配属先である青年省へ中間報告をした際には、先方の賛辞とは裏腹に、人事問題や保健システム不備という根本問題を目にし、私には焦燥感、無力感だけが積もった。

そんな精神状態で臨んだパイロット活動であったが、スタッフとの関係が深まるにつけ、さまざまな内外の課題を抱えつつも、自らの哲学をもってできることから地に足をつけて取り組んでいる、青少年センタースタッフの姿に感銘を受けた。例えば、青少年センターに検査技師を雇用するのが困難であるのならば、出張検査を実施し(日当を出すことができる)、何とかセンターと検査技師とのつながりを保ったり、パートナー援助機関からの資金配当が遅延しているのならば、保健センターが実施するルレ(コミュニティヘルスワーカー)の研修場所を提供することにより、効率よく保健センターやルレとの連携を保っていたり、ITが苦手であれば、隣の青少年局でボランティアをしている人に頼んで手伝ってもらい、月間報告書の義務は(意外にも)きっちりと達成しようとしていたり、等々。これら最低限のセンターの機能を守る努力を見、質の改善は大きな課題ではあるが、なぜ目標に掲げている固定検査数が伸びないのか、ピュアエデュケーターやルレが思うように機能していないのか、を理解することはできた。

そこで、実際の活動としては、フィージビリティに配慮し、@センター長が活かしきれていない人脈を駆使し、また、センターの最大の課題である広報活動を克服すべく、ロビー活動の強化、Aロビー活動をする上で補助となる、広報ツールの作成、Bさらなるお金をかけなくても啓発活動ができるよう、IEC技師の部屋に埋もれている「使える」啓発教材の整理・活用、C今までセンター長の感覚で実施してきた活動を客観視すべく、四半期毎の目標設定・掲示、の4つを活動として行った。

この1ヶ月間の活動の最大の成果は、上記@のロビー活動であろう。センター長は、一番はじめに訪れたロビー活動先である市役所にして、青少年センターがその存在以外に、機能や役割等まったく理解されていなかったことを初めて知ったのである(知名度が低いとの調査結果にも、最後まで反対していた)。これまで、何となく日々の付き合いから知られているだろうと踏んでいた青少年センターが知られていなかったという事実に対して、センター長はすぐさま認識を改め、その後、教育委員会、宗教指導者、州議会、軍医務局とロビー活動を重ねていくにつれて、説明型から提案型へ変わっていき、また、各機関が抱える課題をセンター長と共有してくれるようになり、センター長も地域問題のコーディネーターとしての役割をも認識するようになった。

結果として、宗教指導者からの提案により、「イスラムとリプロダクティブヘルス」と題したコンファレンス開催という運びとなった。(2007年10月7日現在、まだ開催はされていません)これは、特定地域での教育現場におけるリプロ教育反対という保守派への対応に困っていた教育委員会のニーズにも応えるテーマであり、また、今まで単独で活動してきた各機関にとっても、連携強化のチャンスである。当コンファレンスが開催されれば、より一層の相乗効果が期待でき、今回介入した青少年センターの活性化にもつながると踏んでいる。

こうして、前半こそ課題の多さ、重さに無力感を感じたものの、何とか改善の糸筋を見出すことができた。もちろん、これで課題がすべて解決した訳ではないし、スタッフの活動継続性はモニタリングしていかなければならない。けれど、今回垣間見させてもらった、現場の人々の背伸びしない、でも希望を失わず、細々と続けるという姿勢が、私自身を現場で働くよう惹きつける最も大きな要因であることを再認識した滞在であった。

以上

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2007.09.17

青少年センターにおける現行啓発活動調査
位田 和美

(前回のコラム「2度目のセネガル」)

前回紹介したHIVエイズ対策VCT(Voluntary Counseling and Testing)統合サービスプロジェクトでは、全国13箇所ある青少年センター中、8箇所を選定し、支援を行っている。私の派遣は、3ヶ月間という短い期間であるため、同時に派遣された短期隊員と2人で手分けして現行啓発活動調査を実施することとなった。結果、私が担当したのは、セネガル東部2州にわたる計4箇所の青少年センターである。

そもそも、青少年センターには、青年省が雇用するコーディネーター、IEC(Information, Education and Communication)技師、それから、某国際機関が雇用支援していたソーシャルアシスタントおよび検査技師が配置されているはずである。私の活動対象である啓発活動は、上記IEC技師を中心に、ピュアエデュケーター、地域啓発員(ルレ)によって実施されていることになっている。しかしながら、2007年1月から調査開始時の2007年6月にいたるまで、ほとんどの青少年センターでは某国際機関との雇用契約の切れたソーシャルアシスタントと検査技師が不在という状況であった。さらに、援助機関がプロジェクトのフェーズ終了に従って手を引いて行く中、開構以来外部依存の強かった青少年センターに資金源が少なくなった現在、青少年センターが報酬を渡して啓発活動を委託していたピュアエデュケーターやルレのセンター離れが強くなっている。このように、調査開始以前から、人材確保という青年省レベルでの組織上の問題に直面していた。しかしながら、現行活動調査自体は、手探りながらも大学院で勉強したフォーマティブリサーチ手法を適用し、各青少年センターにてSWOT分析、質的・量的調査を実施することができた。

上記4箇所の青少年センターを比較した結果、見えてきたのは、まず、当然のことながら、青少年センターとしての人材配置がきちんとされており、それぞれがそれぞれの職務を、プロフェッショナリズムを持って果たしているセンターほど、センターの知名度も高く、VCT受診数、カウンセリング受診数も多く、センターとして機能しているということであった。次に、地域のオピニオンリーダーや医療機関や教育機関等の主要機関との連携が強ければ強いほど、青少年センターの青少年の行動への影響も大きいことがわかった。さらに、啓発活動数や青少年センターの知名度とVCT受診数は必ずしも比例せず、やはり啓発活動の質とコミュニケーション手段の吟味が必須であることが再確認された。

以上から、青少年のVCT受診を含む行動変容には、青少年個人レベルでの啓発、および青少年を取り巻くコミュニケーションを網羅したソーシャルネットワークからの啓発の強化、ならびにオピニオンリーダーをはじめ、地域社会の連帯意識としてのHIVエイズ対策が必要であると言えよう。そこで、青少年センター4箇所の現行啓発活動の各レベルに応じて活動強化のための提案をした。

結果、後半1ヶ月間に介入すべく選定したのは、地域の青少年間での青少年センターの知名度が低く、IEC技師は配置されているけれども、事務所仕事をこなすだけで対外活動に消極的であり、ピュアエデュケーターやルレも機能しておらず、コーディネーターが地域の情報と人脈を豊富に有しているにも関わらず活用していない、つまり、地域のオピニオンリーダーとの連携が希薄な青少年センターである。次回コラムでは、啓発活動能力強化の準備としての青少年センターの広報活動、組織マネジメント強化を中心とした、1ヶ月間のパイロット活動について記したいと思う。

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お知らせ
コラム執筆者の一人、小林由季さんの記事「援助と自立のはざまで ―アフリカ最貧国、マラウイからの報告」が「アリエス」2005年春号(2005/3/25発行、講談社)に掲載されています。是非ごらんください。(目次 執筆者の一人、上岡直子さんが新刊『内発的発展と教育 人間主体の社会変革とNGOの地平』(新評論、2003年)で「アメリカNGOの教育協力」について執筆しています。本書は、世界各地で展開されている住民・NGOによる教育開発活動を具体的に明らかにし、住民を主体とした内発的発展を求めている教育の現状と課題を分析したものです。ご関心のある方は是非、ご一読下さい。
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