地球に乾杯!NGO
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2005.09.12

「米国政府とNGOの対北朝鮮人道援助」を研究し始める訳
杉原 ひろみ

9月から2歳4ヶ月になる娘が幼稚園に通い出し、アメリカ社会の荒波に飛び込んだのを契機に、私は再び研究活動を本格化させることを固く決意した。もっともこの4月から日本の大学院博士課程に籍だけは置いていたが。

なぜ私は「米国政府とNGOの対北朝鮮人道援助」を研究しようと思っているのか。第一に、私がこれまで暮らしてきたジンバブエとワシントンDCで感じてきた「政府とNGOのパートナーシップ」について、論理的に理解したいからである。ジンバブエでは、NGOが型にはまらない組織形態を持ち、柔軟性ある活動を行っていた。その反面、NGOの特徴とも言うべき多様性を十分に生かしきらずに政府開発援助を実施するケースが多々見られた。

「援助は現場で起きている」のが本来あるべき姿であるが、実際にはまだ、先進国や国際機関本部のロジックに沿った援助が行われている。私がジンバブエの現場で働いていた時、先進国本部の人の動きや政策決定に至る過程がわからず、なぜこのような政策が存在するのか、また、逆に本部とどのような関わりを持ったら、現場の声を反映できるのか、疑問に感じたものである。

しかし、ここワシントンDCに居を移して初めて、米国における人の動きや、政策形成・決定方法、お金の動きが見えてきた。中でも政策形成段階で、政府やNGO、アカデミック、シンクタンク、教会などが、組織の枠を超えて個人レベルで、激しい駆け引きをしているのである。政府から資金援助を受けず独立して活動しているNGOも、水面下で政府をはじめ、さまざまなアクターと関わりを持ち、パートナーシップを築いている。そうした事実を積み上げることで、ここワシントンDCでは、一体どのようなメカニズムで、どのように組織や人が動き、政策が決定され、開発途上国の現場が動いているのかを明らかにしたい。

第二に、大学時代に専攻した朝鮮半島地域研究と、これまでやってきた開発援助を融合させ、一つの論文を仕上げることは私の長年の夢であり、それを実現したいと思ったからだ。たしかに日本国内ではミクロレベルでの韓国・北朝鮮研究は層が厚い。また、中国研究の専門家が北朝鮮研究を始める場合もあり、中国における北朝鮮研究を伺い知ることもできる。現に、大学時代に机を並べた仲間たちが、現在に至るまで、コツコツと研究を続けており、私のように巡り巡って朝鮮半島研究に戻ってきた者と違って、研究の奥行きも迫力も違う。

しかし米国の対北朝鮮援助を開発援助の分析手法を使って研究する日本人はほとんどいない。北朝鮮の人道・開発援助を研究する場合、実は米国の動きを追うことが極めて重要である。一見、固く門を閉ざしているように見える北朝鮮だが、1990年代以降、国際情勢の変化や天災等により、徐々に北朝鮮と、NGOや国連機関、先進国等の双方から働きかけがなされている。世界の開発援助の潮流に合わせて、どのように北朝鮮への人道支援の方法が変わっているのか。その変化から21世紀型の国際協力のあり方が見えてくるのではないかと考えている。

皮肉なことに、私がかつて仕事をしたジンバブエも独裁政権が25年続いている。米国の対ジンバブエ人道援助と北朝鮮援助は類似点が多いのではないか。今後、研究を進める過程で、ジンバブエでの経験を北朝鮮にも応用できたらと思っている。

以上が研究を始める理由である。次回は先進国政府や国際機関の対北朝鮮人道支援の歴史を振り返ってみる。


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